使い方はまだ……混沌の中。それが……Notion!
前田 大地
なにかと話題のNotion。この度、セブンシックスにおいてもなんとか無事にNotionへの移行が完了しましたので経緯や感想をまとめました。
目次
導入前の状態
セブンシックスではこれまで、プロジェクト管理や情報共有のために「Hubspot」「Jira」「Confluence」という3つのサービスを利用していました。
Hubspot: 受注管理ツールとして利用
現在、どんな案件があって、それが見積段階なのか、契約済みなのか、請求して入金済みなのか。といった全体の受注状況を共有する目的でHubspotのセールスハブを使っていました。見た目はタスクツールのようなカンバン方式のボードで使いやすく、入力項目など細かいカスタマイズもできるスグレモノ。売上予測も立てやすく重宝していました。
Jira: タスク共有ツールとして利用
https://www.atlassian.com/ja/software/jira
タスク共有ツールは、producteevというサービスが消えてから慌ただしく迷走し、かなりの数のツールを試した挙げ句にたどり着いたのがJiraでした。Jiraは、タスクやサブタスクといった「課題タイプ」を自由にカスタムできるのが良いところで、業務にマッチした思い通りのツールに仕立てることができました。カンバン方式のボードとガントチャート形式のタイムラインを、課題タイプによって使い分けられるのもグッドです。
Confluence: ナレッジ共有ツールとして利用
https://www.atlassian.com/ja/software/confluence
ナレッジ共有にはJiraと同じAtlassian社のConfluenceを使っていました。個人的にマークダウンが好きではなかったというのも大きいですが、どうせなら誰でも抵抗なく編集できるビジュアルエディタ搭載のWikiツールということで採用。ページ形式とブログ形式が共存できるのも便利で、1つのツール内で業務マニュアルなどの固定記事と、時事ネタなどの流れる記事を両立できたのも好感触でした。Jiraとの連携もカンタンです。
Notion現る
で、Notionに出会います。最初の感想は「なにこれ楽しい!」でした。英語を翻訳しながら試行錯誤する。バイク好きが休日ガレージにこもってバイク組み立てるみたいな、そんな雰囲気です。バイクいじったことないけど。
あれ?もしかして、これぜんぶNotionに移行できるのでは・・・?
ええ、気分が乗ってくればそういう流れになりますよね。早速、HubspotとJiraとConfluenceのデータをNotionに移す作業が始まります。先に挙げた3ツールは、その機能を極限まで使ってるわけでもなかったので、同じようなことをNotionで実現するのは比較的簡単でした。しかも、Formulaとか考えるのめちゃ楽しい。そして、ほとんどのデータをNotionに移行した時点で気が付きました。
・・・定期タスクの自動化ができないじゃん、と。
個人の記憶力に頼らないためのツールなのに、これでは本末転倒です。残念ながらお蔵入りとなりました。
NotionにAPIが実装される
しかし2021年5月。ついにNotionにAPIが実装されました。これでもう、Notionへの移行を阻むものはありません。ようやく「実際に業務で使ってみる」というフェーズに突入できるようになったのです。
API導入方法
現在は、Zapierを中継させてAPIを使っています。せっかくなので簡単に手順を。NotionもZapierも英語なんですけど、Google翻訳があればなんとなく雰囲気で設定できると思います。
1.Notionのintegrationを作る
https://www.notion.com/my-integrations
integrationを作るとキーが取得できます。
2.ページをintegrationにシェアする
操作したいDBが置かれているNotionページを開いて右上の「Share」ボタンからさきほど作ったintegrationにページをシェアします。
3.ZapierでZAPを作る
ZapierにNotionのキーを登録して連携。どんな条件をトリガーとしてどんな操作を行うのか、自動化の具体的な設定をZapier上で行います。テストしてDBにアイテムが登録されていればOK。
セブンシックスでは、GmailをトリガーにDBにアイテムを追加しています。例えば、ホームページのお問い合わせフォームが送信されたら自動でタスクに追加したり、GoogleスプレッドシートとGASを使って毎月定期的に発生する業務のタスクを追加したり。このへんはJiraでやってたことをそのままNotionにもってきた感じです。
Notionのメリット・デメリット
というわけで、まずは実際に半月ほどNotionをチーム運用して感じたメリット・デメリットなどを。よくNotionは万能ツールと評されますが、実際にはできないことだらけです。できることが限られている中で、試行錯誤できる余地がちょうどよくて、それが恋してしまうツールの所以ではないでしょうか。
Notionのメリット
動作が軽快
もう、これが最大であり、決定的なメリットです。例えば、Confluenceで新しいページを作るとき、Hubspotで顧客情報を登録するとき、クリックで遷移するときのロード時間がけっこうなストレスになっていました。どこをクリックすれば一番近道か。そんなことを考えながら操作し、間違った箇所をクリックしようものなら、もとに戻るのにまた多くのタイムロスが発生する始末です。Notionは、とにかく軽快。はじめてSublimeTextを使ったときのように気分爽快です。
楽しい
RPGツクールのようなワクワク感があります。他のツールでは当たり前の機能ーー例えば期限超過タスクにマークをつけるーーとかも、いちいちFormulaを使わないといけないのですが、それをちまちま調べながら実装するのがとっても楽しい。時間を忘れて夢中になれます。
Notionのデメリット
見にくい
シンプルな分、見やすさはあんまりよくないです。中でも問題はカラー。色です。タイムラインのバーなどの色が変えられないので、ぜんぜん直感的に把握できない。カレンダーの見辛さも本当にひどい。ちょっとした工夫で軽減はできますが、許せない人も多そうですね。
漠然とした不安
クリック入力即反映!という軽快さの反面で、うっかり操作したことに気づかないままデータがおかしくなるのではという漠然な不安がつきまといます。ベージをロックしててもサイドバー上で移動できちゃったりするので、神隠しのような事件も起きます。今のところ何か問題が起きたわけではないですけど、なんか常に不安。
基本的に手動
例えば、タスクの状態を「完了」に変更したとき、自動的に「完了日」が入力される……といったことはできません。基本的に入力項目は手動、もしくはFormula(手動で入力された値を計算)です。何らかのアクションをトリガーにして何かをする、というのができないんですね。まあ、軽快だからいいんですけど。軽快だからね。
Notionを導入した感想
軽い。軽いというのはそれだけで素晴らしい。多少の不便さには目をつむってでも、この軽快さには価値があります。今までチームでなかなかツールが定着しなかった原因は、機能ではなくむしろ速度だったのかと感じるほどです。他のツールで画面の読み込みが完了したとき、Notionではすでに入力が終わっている。そんな勢いです。
もちろん、ひとつの目的に特化したツールと比べれば、速度以外の機能面はたいてい劣ります。でも、不便さを楽しみながら自分たちの使いやすいようにカスタマイズしていくこの感覚は、きっとあなたのパンク精神を呼び覚ましてくれるはず。4REALだぜ。
Notionはこちら
https://www.notion.so/