製品やサービスが持つ本当の「価値」を見つけるためのシンプルな手順
前田 大地
製品やサービスの「価値」を、きちんと伝えていますか?
今回は、私がホームページ制作を依頼されたとき実際に行っている、製品やサービスが持つ本当の「価値」を見つけるための方法を紹介します。
伝わらない価値は存在しないのと同じ
まったく同じ2つのりんごが並んでいます。
さあ、あなたはどちらを買いますか?
私だったら、近いほうを手に取ると思います。コインの裏表で決めてもいいですし、「神様の言うとおり」で選んでもいいかもしれません。いずれにしても、違いが分からない2つのうちどちらかを選ぶのは、ちょっとした賭けみたいなものです。
では、右のりんごに「青森産」、左のりんごに「中国産」と書かれていたらどうでしょう。見た目は全く同じりんごなのに、そこに価値の差異があらわれます。私だったら、少しくらい高くても青森産を買いたいですね。
つまり、「価値」が大きな判断要素になっています。
このように、モノがあふれた現代において「価値」を伝えることはとても重要です。なぜなら、伝わらない価値は存在しないのと同じだからです。わざわざ隠された価値を探して楽しいのは骨董市くらいです。
価値は人によって変動する
価値というのは、RPGでいうところの「HP」とか「力」とか「素早さ」みたいな数値化できるステータスではありません。なぜなら、同じモノでも人によって価値の評価は違うからです。どちらかといえば「かわいい」に近いですね。
例えば、ニコチン依存症の人にとってタバコは価格以上の価値を持ちます。でも、吸わない人にとっては、価値はゼロどころかマイナスです。トカゲをかわいいと感じるかどうかも人それぞれです。どちらもすごい落差があります。
製品やサービスには「価格」というステータスが設定されていますが、これは価値を表すものではありません。価格は誰にとっても同じ数値ですが、価値は人によって違います。価値が価格を上回っていると感じれば買うかもしれないし、そうでなければ買わないかもしれません。
同じモノでも受け手によって価値がまったく変わるのですから、すべての人にとって等しい価値のモノは理論上存在しません。マーケティングの基本的な考え方である「全員を狙わずに、あえてターゲットを絞り込む」のには、こういった理由があるためです。
特徴と価値はセット
では、実際に製品やサービスの価値について考えていきましょう。製品やサービスには、それぞれ特徴があります。そして、その特徴が価値をつくります。
例えば、ノートパソコンには「軽くて小さい」という特徴があります。つまりそれは「持ち運びしやすい」という価値をつくっています。
では、デスクトップパソコンの特徴は何でしょうか?ノートパソコンと比較すると大きくて重いですよね。つまり、「画面が大きい(作業スペースが広い)」「スペックが高い(小型化しなくてよい分、安価で高性能)」という特徴があります。すると、「作業効率が高い」という価値が見つかります。
このように、特徴と価値はセットになっています。ですから、いきなり価値を見つけようとするのではなく、まずは特徴を洗い出してみてください。それが、本当の価値を見つける近道です。
誰に伝えるか
特徴と価値のセットをひととおり洗い出すと、価値のベクトルが様々な方向を向いているのが分かります。この中から、相手がもっとも重要視するであろう価値を選んで、メインの売りにします。
当然、相手によって価値を感じるポイントは違いますよね。だから、あらかじめ「誰に」伝えたいのかを決めてしまいましょう。相手が決まれば、その相手が価値を感じそうなものを順にピックアップするだけです。
誰に伝えるかを決めれば、価値に優先順位がつけられます。もし100個の価値があったとして、それをぜんぶ並列にして紹介するわけにはいきません。より重要な価値ほど相手の目に触れるように、特等席を用意してあげましょう。
まとめ
- 特徴を見つける
- 価値に変換する
- 優先順位を決める
さっそく今日から使えます。小難しい知識や専門用語なんていりませんので、ぜひやってみてください。